相続放棄

相続のご相談をお受けしていると、「私の分の相続は放棄します」とおっしゃるお客様がよくいらっしゃいます。

この場合の「放棄」は、相続人同士の協議によって、自分の持分をほかの相続人に譲る、という意味合いであることが多いです。

 

ここでいう「相続放棄」は、裁判所に対してするもので、初めから相続人ではなかったことにする手続きです。

お身内の方が亡くなられて相続人ではないことにする、なんてなんだか寂しい感じもしますが、マイナスの資産の方がどう考えても多そうだというときには、この方法をとらざるを得ない場合があります。

 

配偶者と第1順位の相続人であるお子様が放棄すると、ご存命であればご両親(さらに祖父母)が第2順位、兄弟(又は甥姪)がいれば第3順位・・・と順番に相続放棄の申述をしていくのですが、順を追うごとに集める戸籍も多くなり、ご自身で手続きをすることが難しいと感じるかもしれません。

また、亡くなった方と不動産を共有していた場合などは、相続放棄をしただけでは共有状態が解消せず、相続財産管理人選任申立や特別縁故者に対する相続財産分与申立といった、名前を聞くだけで頭が痛くなるような申立てが必要になるケースもあります。

 

また、相続放棄の申述はいつでもできるわけではなく、相続人となったことを知ってから3か月以内といった期限がありますので注意が必要です。